北九州市立大学国際環境工学部情報メディア工学科 佐藤准教授

北九州市立大学国際環境工学部情報メディア工学科 准教授 佐藤 雅之先生
聞き手:北九州市産業経済局誘致課 山口 浩樹

学校概要

 昭和21年(1946年)に小倉外事専門学校として創立されました。昭和25年(1950年)に北九州外国語大学(外国語学部)に昇格し、商学部、法学部、文学部などの文系学部を開設し、全国屈指の公立総合大学として、多くの優秀な人材を輩出してきました。
平成13年(2001年)に初の理系学部となる国際環境工学部を若松区のひびきの学術研究都市内に開設されました。 現在、ひびきのキャンパスには「環境」「情報」を柱とした国際環境工学部(5学科)と国際環境工学研究科(大学院、3専攻)があります。
大学全体では学部生6000名、大学院生400名が在籍し、今回インタビューで訪問したひびきのキャンパスには理系学部生が1000名、理系大学院生が200名在籍しています。

インタビュー

山口: 先生の研究内容を教えてください。
佐藤: 人間の視覚情報処理システムについて研究をしています。人間の視覚系は非常に高度な画像情報処理機械であるといえます。人間の目の画像認識の仕方を解明することによって、世の中の色々なことに応用することができるといえます。
山口: 具体的にはどのような応用が可能ですか?
佐藤: 現在実際に行っている研究では、例えば、自動車の運転者に危険を知らせるとき、どのように情報を呈示するのがよいかといった問題をテーマとしています。表示が目立たなければ意味がないですし、逆に目立ちすぎると運転の妨げになってしまいます。適切な表示方法を探るには人間のものの見え方をよく知る必要があります。他にも最近は次世代型の3次元テレビの研究開発が盛んに行われています。人間は右目と左目の像の違いにより立体感を得ていますが、その見え方には大きな個人差があります。私はその個人差について研究しています。万人が楽しめる、高臨場感で低コストの映像表示システムを実現するためには、人間の視覚特性に関する理解が必要不可欠です。
また、遠い将来の話になるかもしれませんが、人間の目と同じような高度な画像処理能力をもったロボットが開発されるかもしれません。
山口: 佐藤先生の所属する、情報メディア工学科について教えてください。
佐藤: 情報メディア工学科は国際環境工学部の中でも一番定員数の多い学科です。環境生命工学科の新設により、今年から入学定員が70名に削減されましたが、現在は400名の学生が在籍しています。特徴として挙げられるのは、幅広い学問分野の専門家が教員として集まっていることです。
情報というとソフトウエアの開発をイメージするかもしれませんが、画像や音声などの信号処理、通信、制御、LSIなど、様々な専門分野の研究者がユニークな研究テーマに取り組んでいます。学生にとっては様々な分野の基礎的な勉強ができ、進学する際には多様な研究室から専門を選ぶことができるメリットがあります。
山口: 佐藤先生は情報メディア工学科の就職担当教官とお聞きしていますが、就職について教えてください。
佐藤: 例年、概ね7割が就職し、3割が進学しています。国公立大学の工学系にしては進学率が低いと思います。大学院の2年間はそれまでに学んだことを基礎に自由に研究に打ち込める充実した時間がもてますので、進学率が低い現実はとてももったいないことだと思っています。
就職希望者につきましては、幸いなことに、ほぼ全員が就職先を見つけることができています。就職先が見つからない人は、いても例年1、2名程度です。しかし、これからは企業の採用状況も厳しくなりそうですし、のんびりとしてはいられなくなるかもしれませんね。大学院に進んでしっかり学んでから社会に出ようという雰囲気が出てくればそれもいいのかもしれません。
山口: 北九州学術研究都市についてのイメージを教えてください。
佐藤: 私は、学術研究都市の開設時に北九州に来て、今年が8年目になります。北九州に来る前は小学校で習ったような工場地帯のイメージが漠然とあったのですが、整備されたばかりの学術研究都市を初めて見たときは「ずいぶんと寂しいところに来てしまったなぁ」としみじみと感じました。しかし、慣れてくるとのんびりとした環境も悪くないと思うようになりました。
ただ、学術研究都市の周りにもっといろいろな店が増えて、公共交通手段も充実し、学生の溜まり場ができたり、サークル活動なんかももっと盛んになればいいのになあとは思います。学生だからただ机の前にかじりついて勉強だけしていればいいというものではなく、サークル活動とかアルバイトとか友達と飲み歩いたり、高度な文化に触れたり、とにかく何でもいろいろな経験をすることが若いときには特に大切だと思うんですよね。そういったことでいろいろなことに対する意欲が湧いたり、研究のアイディアが浮かぶことだってあると思います。
山口: 最後に企業の方に一言お願いします。
佐藤: 北九州学術研究都市では、我々北九州市立大学や九州工業大学、早稲田大学など様々な大学や企業が集積し、優秀な研究者が集まって活発に研究活動を行っています。共同研究や卒業生の活躍などを通じて、様々な企業の方と積極的にコミュニケーションをとっていければと思います。

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