採用面の好条件と市役所職員とのマッチングから北九州進出を決意

BEENOS株式会社

1999年に株式会社ネットプライスの社名でEコマース関連事業を開始、インターネット黎明期より日本のEコマース業界をリードし、現在はグループ16社を束ねるBEENOS株式会社さま。日本と世界を繋ぐクロスボーダーEコマース事業と、世界11カ国80社以上の企業に出資をしているインキュベーション事業を展開、グローバルなビジネスを拡大させています。
2014年に商号をBEENOS株式会社に変更し、2017年4月に北九州オフィスの準備室を開設、2018年4月より本格操業。今回のインタビューではグループCFOの中村浩二様と北九州責任者の中野貴登様に北九州オフィス設立の背景や北九州オフィスで目指すことについて伺いました。

採用面の好条件と市役所職員とのマッチングから北九州進出を決意

まずは、御社の事業内容について教えて頂けますか?

中野:現在、BEENOS株式会社は主にグループ全体の経営戦略立案とグループ会社のバックオフィス業務をおこなっていますが、バックオフィス業務の一部を北九州に移管しています。現在、北九州オフィスでは労務、法務、財務経理、そしてコーポレートデザインの4つの部署があり、それぞれに従業員が在籍しています。

北九州に拠点をつくることになった経緯について教えてください。

中村:東京には多くの企業があり、人材獲得競争が激化しています。そのため、私たちは採用強化に対して常に課題感を持っていました。加えて、2011年に東日本大震災をきっかけに、大規模な災害が起きたときの対策が必要だと感じていたんです。このような2つの理由から、私たちは拠点の複数化を検討しはじめました。
そんな中、北九州ですでに採用活動を実施されていた株式会社メンバーズの小峰常務に「北九州はいいですよ。ぜひ一度一緒に行きましょう」とお誘いを受けたんですね。2017年1月、実際に株式会社メンバーズの北九州オフィスへお邪魔しましたが、そこで多くの発見がありました。

まず、羽田空港から北九州空港へは片道たった1時間半程度。1日16便(往復)も運行しており、空港から北九州市内への移動を含めても日帰りができてしまう距離感だということ。
気になっていた採用面では市役所の方や現地の企業の方から、事務系の求人倍率が低いこと、専門学校や大学が多いこと、そして北九州だけでなく下関周辺なども通勤エリアに含まれるため採用がしやすいことなど、前向きなお話が伺えました。また、災害が少ない地域でもある上、北九州市役所からのバックアップが大変心強いこともわかりました。

実際に北九州市役所のご担当者様にお会いしましたが、非常に友好的で私たちと同じ目線で向き合ってくれる方々ばかり。こうしたさまざまな利点とフィーリングがマッチし、北九州拠点を設立することを決めました。

北九州オフィスの役割について教えてください。

中野:東京本社とのデュアル拠点化を考えており、今後は通常業務を北九州だけで完結できる体制を作っていきたいと考えています。北九州オフィスは東京本社の“事務処理のみを行う場所“ではなく、東京オフィスと同等の立場にしていきたいのです。

また、北九州オフィスはまだ立ち上がったばかりですので、週に一度席替えをして社員のコミュニケーションを活性化させています。これによって実際に部署を越えたコミュニケーションがとれていると感じていますので、リモートワークが普及していますが、今後はもっと社員が出社を負担に感じないような仕組みづくりに力を入れていきたいですね。

一方で、北九州拠点の課題は何でしょうか?

中村:私たちが求めるスキルを持つ人材は、東京や北九州などエリアを問わず母数そのものが多くはないため、人材を確保するには多少の時間がかかります。しかし、市役所のサポート含め採用面はよい環境が整っているので力を注いでいきたいですね。

北九州オフィスを開設したことで、これまで一拠点で完結していた業務をオンラインで連携するなど、東京のスタッフとしても非常にチャレンジングなことをしています。扱っているのが経理や法務という専門的な分野でもあるため、まだ互いに不慣れで多少の不便さを感じることはあります。そこは、北九州と東京を行き来してスタッフ同士が直接顔を合わせるなど、出来る限り障壁をなくすように努めています。

コストダウンに大きなメリット、今後はUIターンスタッフを強化

業務以外での北九州の魅力はなんでしょうか?

中村:家賃の安さは大きなメリットですね。オフィス以外にも書類を保管するため、外部の倉庫を利用しているんです。書類の管理機能自体を北九州に移し、賃料の安い北九州オフィス周辺の倉庫へ移動させてコストを削減させることも検討しています。

また台湾にサービス部門のカスタマーサポートセンターを置いていますが、同じように北九州も試験的にサービス部門のオペレーションの一部を作ろうと採用をはじめています。オフィスを維持するためのコストダウンという観点では北九州オフィスには大きなメリットがありますね。

中野:北九州市はIT企業誘致の受け皿になろうと注力されています。当社が進出した際も、オフィスの斡旋だけでなく、採用面でもエージェントやハローワークの仲介をしてくださるなど、市役所の方がマンツーマンで手厚くサポートしてくださいました。さらに、会社が北九州拠点を設立して要件を満たした場合は賃料の1/2が三年間負担される、雇用時に補助金をいただけるなど、助成金制度も充実しています。私たちが北九州オフィスを置いている「fabbit」という施設は、市の職員の方がイベントを実施する際に利用されていますので、オフィスには頻繁に市の職員さんがいらっしゃいます。

中村:ときおり北九州市役所の方が東京までいらっしゃることもありますね。オフィスを構えたらそれで終わり、ではなく採用や物件探しなども手伝ってくださる。「そこまでやってくれるんですか?」とビックリしました。

北九州は市をあげて企業誘致やIターンUターン採用を積極的に行っています。そこで時おり採用活動などについて「こんなことできませんか?」と北九州市の方から企画提案されることもあります。お互いが信頼して助け合える関係性があるのも、北九州ならではなのかもしれません。

今後、北九州拠点の目標は何でしょうか?

中野:私はずっと福岡の企業に務めてきて、2017年9月に中途入社しました。北九州にはIT企業が少ないため、私服出勤ができるというだけでも新鮮さを感じましたね。また、社員総会で会社名を決定し、1ヵ月後には設立してしまうなど、業務のスピード感にも圧倒されています。こうしたIT企業ならではの社風は北九州という土地においてまだまだ目新しいことですので、もっと取り入れていきたいですね。

北九州オフィスとしては、福利厚生の充実に注力していきたいです。東京にある「オフィスおかん(※)」みたいな制度は北九州にないため、似たような制度を作ることができれば働く環境がもっと良くなるのではと考えています。会社全体として社員の健康に注力することが今後の目標です。また社内だけでなく、北九州という土地の中でも存在感を増していけたらと思っています。

※美味しく健康的な惣菜をオフィスに常備できる法人向けのプチ社食サービス。

中村:設立当初から、「北九州は東京の下部組織ではない」と話しています。並列する関係にしたいですし、むしろ逆転しても良いと考えています。

当初の課題であった採用においては、今後IターンUターンをもっと増やすことで解決していきたいですね。あるUターンスタッフは、ご両親が北九州出身で本人は北九州での移住経験はなく、ずっと海外や東京で生活していたのですが、当社の北九州オフィス設立を知って当社を選んでくれました。
東京などの大都市や上場企業で経験を積んだ人材が新たなチャレンジの場として北九州に来てもらえれば我々とマッチングできるのではと考えていますし、そうした人材にどんどんアプローチしていきたいと考えています。

<プロフィール>
中村 浩二(なかむら・こうじ)
BEENOS株式会社 代表取締役副社長 兼 グループCFO
1990年、野村證券株式会社に入社しIPO部門にて10社以上の株式上場を手がける。 1996年からインターネット黎明期にネットベンチャーでの経験を経て、2001年には自身でコンサルティング会社を設立し、企業の上場支援や事業再生などを手がける。 2003年当社監査役就任、2004年当社ファイナンス子会社代表取締役社長、2006年から当社管理部門を統括し、2012年より当社代表取締役副社長兼グループCFOとしてグループ全体の管理部門を統括する。

中野貴登(なかの・たかと)
BEENOS株式会社 北九州オフィス責任者 兼 HR室

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